【質問】
親から賃貸アパート(収益不動産)を相続しました。
最初に何をすればいいか分かりません。
どうすればいいですか?
【回答】
まず最初は情報収集から始めると良いと思います。
収益物件を受け継ぐことには2つの性質があります。
1.『不動産の相続』
2.『大家業の相続』
これは大前提となる重要なことですので心の片隅にとどめておいていただければと思います。
前者は不動産という資産の所有権を単に得たことです。
後者は大家業という事業を受け継いだことになります。
例えば、親が経営していた喫茶店を承継して、その日からすぐに店を開けて営業するのとよく似ています。
大家業ではすでに入居者様がいますので、承継した瞬間に店内ではすでにコーヒーを飲んでいるお客様(入居者様)がいることになります。
ですの、まず最初は喫茶店を営業するのに必要な情報を集めるところから始めると良いと思います。
1,収益不動産の状況確認
収益不動産の現状を把握します。
売上や経費などについては、親の確定申告書や決算書を見ると良いでしょう。
これには賃貸収入や支払い費用、減価償却の額や年数なども記載があります。
建物の状態については、遠隔地でも1度は現地へ赴いて目視確認すると良いでしょう。その際に修繕を依頼している工事業者に現場で話を聞けるとベターです。
不動産会社に管理を委託していた場合には、不動産会社からも説明を受けると良いでしょう。
2.賃貸契約内容の確認
既存の賃貸借契約書の確認と、どんな借主が借りているのかを把握すること。
今後の賃貸経営の方針を決めるために必要となります。
3.不動産管理の見直し
親がどのように・どこまでの管理を行っていたか確認します。
例えば、入居者募集・新規契約だけを不動産会社へ依頼していた場合、家賃集金や更新手続きや日常管理のすべてをすぐに引き継がなければなりません。
相続手続きの間、更新や滞納の督促などがストップしている恐れもあるので新人大家さんにとっては喫緊の課題となります。
また、昨今の法令改正や風潮などから大家さんの直接管理は難しくなってきていることもあり、相続を契機に管理を不動産会社へ委託することも検討すると良いでしょう。
4.将来の計画
当面は外壁塗装や屋上防水等の修繕計画や、建て替えや売却などアパートじまいの計画など、親の代でしっかりと長期計画を立ててある場合には安心です。
新しい事業主として親の代の計画にご自身の経営方針を盛り込み修正していくと良いでしょう。
収益やリスク管理も大切です。
しかし古くからの大家さんの場合はあまり計画的なものがなく、長年の経験則を基に経営されていたということも少なくありません。
そういう場合には一から計画を立てることとなりますが、その際に不動産会社へ相談すると良いでしょう。
個別案件に応じていろんなアドバイスを得ることができます。
5.貸主変更の通知を行う
相続により所有者・貸主が変わったことを入居者や関係取引先などへ通知します。
成りすましやトラブルなどもありますので、書面(手紙)と電話の両方が良いでしょう。
可能であれば電話ではなく対面でも良いですが、入居者の中には対面を面倒に感じる人もいますので、相手や状況に応じて電話のみにしておくなど配慮すると良いでしょう。
上記の事柄を1つ1つ進めていくことで収益不動産の相続に関する重要な問題をクリアしていくことが可能です。